振起日と羊雲

《 詩編100編3節 》
 9月に入りました。この夏、皆さんはどのようにお過ごしになられたでしょうか。普段と変わらない夏を過ごされた方、慌ただしい夏を過ごし、気が付けば、もう秋かとの心境の方、また、特に今月の台風通過により、被害に遭われた多くの方々がおられることを思います。一日も早く日常と安心とを取り戻されますようにお祈りします。

 教会では、9月の第一日曜日を「振起日礼拝」として特別な礼拝を守っています。この起源は、もともと英語圏の教会学校の伝統であったようです。夏休みの間、それぞれに過ごしていた子どもたちが、新学期に合わせて再び教会に戻って来ることを願い、教会学校の教師たちが呼びかけをする日です。今日では「ホームカミング・サンデイ(Homecoming Sunday)」と呼ぶことも多く、しばらく教会に来ていない人にも声をかける機会を設けている教会も多くあると聞きます。その日には、愛唱讃美歌トップ10を歌うといった工夫をしている教会もあるとか。古くは教会学校から始まった伝統が、今日の教会の事情の中で引き継がれているようです。教会から離れてしまった魂のための祈りは、世界の教会の共通の課題。そのような試行錯誤にその心がにじみ出ているように思います。
 それにしても、日本の教会の「振起日」とは、その本来の意味を実によく言い当てた訳だと思います。再び集まるということに加え、心を振るい起こし、心を新たに神様に向けて歩み出そうという意味が中心に据えられています。振起日、それは、神様に奮い起こして頂く日。夏の間の、本当にいろいろなことを経ての私たちの心の状態を、神様にもう一度整えて頂く、そのような意味の込められた「振起日」です。
 羊雲が浮かぶこの季節、共に集うことのできる教会を感謝します。恵みの秋に期待しつつ、共に歩んでいきたいと思います。
 「わたしたちは主のもの、その民 主に養われる羊の群れ」詩編100編3節b
(「勝田台だより」2019年9月号より)